アメリカのロック・バンド ”ハート” の歴史は意外と古く、実は60年代から活動している。
本格的に知名度を上げていったのはアン&ナンシーのウィルソン姉妹が加入した70年代。
殆どの人はこの姉妹が加入してからの”ハート”をイメージすると思う。
ボーカルのアンは「女ロバート・プラント」と称され、70年代はレッド・ツェッペリンの影響を強く受けた音楽性だった。
音楽性は少しづつ変化していき85年に自らのバンド名を冠したアルバム『HEART』を発表。
この通算8枚目のアルバムはバンドにとっては初の、そして今現在も唯一ビルボード1位を記録したものとなっている。
87年に発表したアルバム『Bad Animals』のビルボード最高位は残念ながら2位だったが、シングル「Alone」は1位を獲得。
前置きが長くなってしまったが、この「Alone」が今回のテーマ。
当時ハード・ロック漬けの日々だった私ですが、テクニカルな要素があるものを好んで聴いていた。
一応ハード・ロックに分類されるハートでしたが、実はあまり興味が無かった。
しかし、初めて「Alone」を聴いた時、不覚にも「おおっ!!」と耳を奪われてしまった。
静かなイントロの雰囲気のまま、Aメロも淡々と続いていく。
そこから一気にテンションを上げたサビが” ガツン!!!”と来る!
「AメロBメロは静かに、サビで盛り上げる」という作曲の手法はよくある。
だがサビ前でボーカルが「今から行くよ~!」という前振りをしたり、シンバルのロールが徐々に音量をあげていったり。
こういうパターンはよくある。
しかし、このハートの「Alone」にはそれが一切無い。
なので正確に言うと「この曲」というより、「サビに入った瞬間」に耳を奪われた訳なんだが。
それでこの曲とハートというバンドに少し興味を持ち調べてみた。
その結果、実はこの曲、ハートのオリジナルではなかったようです。
ビリー・スタインバーグとトム・ケリーによる音楽ユニット「i-Ten」がオリジナル。
確かに同じ曲ですが、かなり印象が違いますよね。
私が耳を奪われた要素も無い。
最初に聴いた音源がこれだったとしたら、興味を持てたかどうか。
まぁ土台としては「いい曲」なんだろうと思う。
曲はアレンジ次第で印象が変わるものだけど、この曲に関してはハートのアレンジが秀逸だったという事か。
そう、実は私この「アレンジ」に興味がある。
有名な曲は色んなアーティストにカバーされる機会がある。
「まんまコピー」や「あまり変わらない」というものには興味は無いが、「俺では思い付かない」と感じたものは作曲の勉強にもなる。
そこで他にも「Alone」をカバーしてるアーティストがいないか調べてみた。
すると、何と有名なアーティストがカバーしてました!
カナダの歌姫「セリーヌ・ディオン」です!
これもまた、セリーヌ・ディオンらしいアレンジですね。
「Aメロ、Bメロ、サビ」を一つにまとめた第一クールでは、最小限の楽器にとどめた静かな進行。
第二クールのAメロからドラムだけを加え、サビでギターも入る。
「なるほど」というアレンジだけど、特筆すべきはやはりセリーヌの声。
ハートもですが第二クールのサビは高音の叫びから入る。
貼り付けたセリーヌの動画、アルバムに収録されてるスタジオ録音版でもよかった。
だがライヴを選択した理由が、この第二クールの叫びです(1:53秒あたり)。
これ初めて見た時に鳥肌が立ってしまったんですよね!(;’∀’)
セリーヌの声、そしてそのアレンジされた、いやアドリブで出たフレーズなのかわかりませんが「おおっ、神々しい‼」と思ってしまったんです。
スタジオ版より、このライヴの叫びの方が神がかって聞こえた。
とにかくカッコイイ!!
リプレイ回数が多いポイントになってるのも納得です。
さて、他にも無いか探したのですが、素人バンドのカバー動画が多いです。
殆どがハート版のカバーですね。
オリジナルよりハートの方が圧倒的に認知されてるだろうから仕方ないですが。。
そんな中でも相当ハイレベルなカバーを見つけました。
コレです↓
数あるカバーの中でも群を抜いて上手い!凄まじい!
「誰だコイツ?」と思って調べてみたら、、、素人ではなくプロだったようです!(;^ω^)
名前はトミー・ヨハンソン。
「マジェスティカ」というスウェーデンのメタルバンドのボーカル兼ギタリスト。
アレンジは殆ど無くハート版そのまま(ボーカルラインは多少色付けされてるが)のカバーですが、アンの叫びも完璧にコピー!
男性なら誰でも憧れる脅威のハイトーン!
「上手すぎだろ」って思いましたが、、当然です。
なんとスウェーデンの「カラオケ音楽チャンピオン」に輝いた人物でした。
さすがに今は歳を取ったのでメタルを聴く気にはなりませんが、気になった人は聴いてみてください!
それではまた!(@^^)/~~~